合格後、先輩はどのように仕事を受注しているか
[2013/12/25]
中小企業診断士として登録されるためには、1次試験の合格後、2つの道を選択できます。ひとつは、2回以内の受験で2次試験に合格し、実務補習を受講するか診断実務の従事する道。もうひとつは、登録養成課程を修了する道。
一般的には2次試験の合格を目指す人がほとんどですが、登録養成課程にもメリットはたくさんあります。たとえば、2次試験と実務補習/診断実務を免除されること、診断士としての実践スキルが身につけられること、診断士になってから相互協力できる人とのつながりができることなどです。
なかでも、人とのつながりはビジネスに直結することが少なくありません。むしろ、診断士が独立して順調にビジネスを成り立たせるためには、人とのつながりが必須であるとも言われます。
その理由を、東京都中小企業診断士協会などで精力的に活動する坂見穣司さんにうかがいました。登録養成課程の特徴とともにご紹介いたします。
●今回お話を聞いたのは・・・
東京都内リース会社勤務
坂見 穣司 さん
中小企業診断士(2012年4月登録)
登録養成課程 第5期生
何を求めて診断士を目指すのか
私は登録養成課程を経て中小企業診断士になり、現在、リース会社に勤めながら、東京都中小企業診断士協会城南支部に所属し、支部の広報部や、研究会の代表などの活動を行っています。ですから、多くの診断士の方と交流をする機会があります。そうした経験・見聞を元に、診断士を目指される方へ私なりのアドバイスを正直にお話しします。ご参考にしてください。
まず、みなさんにおうかがいします。みなさんは、何を求めて診断士を目指されるのでしょうか? また、どのような診断士を目指しているのでしょうか? 診断士になってから、何をしたいのでしょうか? それらの答えによって、学習で得ようとするものが変わってくると思います。
なかには、外資系コンサル会社のようなイメージで、知識が豊富で理論的、格好いい姿を目指している人がいるかもしれません。もちろん、目的・目標は個人の自由ですので、私がコメントすべきことではありません。ただひとつ言えることは、実際の対象企業は中小企業が中心であり、理論ばかりが求められない、ということです。むしろ、上から目線で難しい理論を突きつけられるよりも、人間的な魅力のある人にわかりやすく説明してもらうことを望んでいるのではないでしょうか。
私は、登録養成課程で業界もスキルもキャリアも多様な人とディスカッションしたり、プレゼンテーションやスピーチの演習をしたりしたことが、非常に勉強になりました。そうしたコミュニケーション能力は一朝一夕に身につくものではありません。受験でコミュニケーション能力が培われるわけでもありません。しかし、診断士の仕事にコミュニケーション能力は不可欠です。
受験対策に追われていると、2次試験に合格することだけが目的になってしまいます。ですから、改めて自分の方向性を確認してみることをお勧めいたします。
自分を「矯正」しながら人間的な魅力を養う
先ほどちらっとお話ししたように、人間的な魅力があること。それも診断士になくてはならない資質だということです。「あの人は頭がいいからついていこう」と思う中小企業の経営者は少ないように思います。大切なのは人間的な魅力ではないでしょうか。
ある先生がこんなことを教えてくれたことがあります。
「登録養成課程は自分の矯正のためにいい制度だよ」
「自分の矯正」とは、考え方、話し方、態度など「人格すべての矯正」という意味だと思います。確かに、登録養成課程にはさまざまな人が集まりますので、自分の会社だけで学べないことをたくさん学べます。簡単な例を挙げればビジネスマナーもそうです。自分の会社では当たり前のビジネスマナーも、ほかの会社の人から見れば「マナーが悪い」と映ることもしばしばです。あるいは、ほかの仲間の「私はこういう診断士になりたい」という希望に新しい発見があったり、反面教師になったりすることもあります。
何でもどんどん吸収していこうという姿勢があれば、そうした「矯正」をしながら自分に人間的な魅力を養っていくことも可能なのが、登録養成講座の良さのひとつだと思います。
人とのつながりがビジネスにもつながる
さらに、「人とのつながりがなければ経営コンサルタントとしての成功は難しい」ということです。これは、診断士協会の活動を通して痛感したことです。
ほかの士業とは違い、診断士には独占業務がありません。診断士の資格を持っていなくても経営コンサルタントの仕事はできますし、資格を持っているからといって仕事の受注契約が確約されるわけではありません。
では、独立開業した経営コンサルタントがどのように仕事を受注しているかというと、先輩・知人からの紹介が多いのです。実際、私の知っている診断士の方は、相互協力や相互紹介、情報交換などを密になさっています。私も先日、資格更新に関する情報をスムーズに入手することができました。
そうしたつながりをどこで得ているかというと、診断士協会の研究会であったり、登録養成課程の仲間だったりするわけです。そうした場に自分を置かなければ、なかなか難しいかもしれません。逆に、そうした場に自分を置いて人とのつながりを大切にすれば、診断士としてビジネスが成り立ちやすいとも言えます。
その点で、登録養成課程で学ぶことは非常に好ましい場に自分を置くことができます。私自身、同期がいたおかげで協会の活動に加わりやすくなり、教えていただいた先生方や先輩診断士とお付き合いすることができています。日本マンパワーの登録養成課程出身の先輩がいると、仲間意識が働くのか、すぐに打ち解けることもできます。
あと何年勉強する気力があるか
もっとも、診断士スキルにしても人間的魅力にしても人とのつながりにしても、何を得られるかどうかは自分の姿勢次第だと思います。登録養成課程を受講すれば自動的に得られるというわけでもありません。
実際、登録養成課程を受講した人の中に、私のように「2次試験合格に自信がない」という人もいらっしゃいました。でも物事は考えようで、そうした気持ちがあるからこそ、何でも吸収しようと努力する姿勢が生まれることもあります。大切なことは「自分は何を優先するか」「どうなりたいか」ではないでしょうか。
私は、2次試験受験というゴールの見えないマラソンよりも、登録養成課程という1年後にゴールがあるマラソンを選びました。その結果、厳しかった日々や受講料金よりもはるかに大きいものを得られました。日本マンパワーでは第1期生以降の修了者を集める懇親会を毎年開催するなど、ネットワークづくりの支援もしてくれます。
繰り返しになりますが、何のために診断士になるのか、何のために勉強するのか、あと何年勉強するのか、厳しい日々を送る覚悟があるのか。そうしたことを考え合わせて決断するしかないと思います。
ただひとつ、登録養成課程の道を選択する際に注意していただきたいのは、確実に通えることと、家族や職場の理解を得られることが必須条件だということです。その点だけはご留意ください。
以上、私見ではありますが参考にしていただければ幸いです。
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日本マンパワー登録養成講座の申込受付は
2014年2月14日締切です。
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