ちょっと一息

CDAの資格活用vol.4

若手社員のモチベーションを高める面談とは

[2010/09/29]

CDA活用1 入社5年目くらいまでの若手社員には、仕事に疑問を感じたり、やる気が出なくなったりする時期があります。そうしたモチベーションの低下はけっして特別なことではなく、誰にも生じる一般的な現象です。
 ただ、疑問や悩みを抱きながら働くことは、本人にとっても会社にとっても幸せなことではありません。ですから上司や先輩社員は、若手社員に「前向きに働くようになってほしい」との思いから、面談などの機会にアドバイスすることがあります。
 しかし・・・当の若手社員にとっては、上司・先輩のアドバイスをありがたく感じるどころか、「説教ばっかりしやがって」と心の中で反発することさえあるでしょう。若手社員のモチベーションを上げることは、非常に難しいものです。

 IT企業の人事部で働く幅口明男さんも、数年前に若手社員から「説教扱い」を受けたことがあると言います。その時、幅口さんは「キャリアカウンセラー(CDA)の勉強をしたら改善するだろうか」と考えたそうです。そして実際にCDA資格を取得。その後の若手社員面談のあり方を改善することができたと言います。
 今月は、「若手社員のモチベーションを高める面談」の好事例として、幅口さんのお話をご紹介します。


●今回お話を聞いたのは・・・
 IT企業勤務
 人事部で人事労務全般を担当
 2005年CDA資格取得
 幅口 明男 さん


「私の若い頃は・・」は説教だと思われる

CDA活用2 「仕事に意義が見い出せない」
 「やらされ感がある」
 「今の仕事が自分に向いていないような気がする」
 このように、若い社員が仕事観やキャリアに疑問や悩みをもつことはよくあります。私自身がそうでした。入社3年目から5年目くらいの頃は、そういう思いが頭を占めていたことがあります。
 そんな時、当時の上司や先輩は私を励ましてくれたり、アドバイスしてくれたりしました。その言葉で救われたこともありました。ですから私も、今度はアドバイスする側として、若い社員に接するようにしてきました。人事・労務担当ですから、若い社員から相談を受ける機会があったからです。
 しかし残念ながら、以前の私は若い社員を救えなかったようです。「私が若い頃はこうだった」と経験を踏まえて話をしても、どうやら説教として受け取られてしまったようなのです。

 このことが、CDAスキルを身につけようとしたきっかけです。日本マンパワーのCDA養成講座通学コースを受講し、2005年に資格を取得することができました。


大切なのは自問自答による「気づき」

CDA活用3 CDAを取得してわかったことは、若い社員のモチベーションを高めるためには、本人が自問自答して「このままではマズイ」を気づかせることが重要だということです。そのためには、上司・先輩社員が「私の若い頃はこうだった」と押しつけるようなアドバイスでは逆効果です。若い社員が自分で考え、気づくことが大切なのです。
 ただ、それは容易なことではありません。仕事観やキャリアに悩みを抱く人の中には、「うまくいかない理由を、周囲の環境のせいにしてしまう人」が少なくないからです。そうした人はおそらく環境を変えても問題は解決しないでしょう。まず、自分の視点や考え方、受け止め方を変えないと、問題は解決に向かわないケースが多いからです。

 そのことを本人に気づいてもらうにはどうすればよいか? 私はそれをCDA学習や、資格取得後のCDAとしての社外活動を通して学びました。
 具体的には、たとえば面談の場では、自己分析ツールを使ってその人の長所や短所、成長に向けての課題を一緒に確認したりしています。自己分析ツールとは、CDA資格取得学習の際に使った教材を自己流にアレンジしたものです。
 若い社員が自分の長所・短所・課題を自分で気づくことができたら、「このままの自分ではマズイ」と考えるようになります。そうしたら次は、「具体的にどのように行動するか?」について考えてもらい、行動を約束してもらいます。そうして、次回の面談へとつなげていくのです。


入社3〜5年目の離職率が半減

CDA活用4 こうした面談は、すべての若手社員に行っているわけではありません。本人から「退職を考えているのですが・・」と相談を受けるケースや、部門長や職場の先輩社員から「あの子が最近元気ないみたいだから、話を聴いてやってくれるかな」と相談されるケースなど、必要とされそうな場合に随時行っています。
 自己分析についても面談者すべてに行っているわけではなく、まずは本人の本音をじっくりと聴き、話をした後で、本人が「自分の長所を知りたい」「自己分析してみたい」という意識になってから行っています。

 幸いにして、一時18%ほどだった入社3〜5年目の離職率は、今では半減しています。もちろんそれは、私の面談の成果であるとは考えていません。ほかの要因も多分に含まれているはずです。ただ、面談のあり方自体は「若い社員のキャリア作りの支援」という点で大きく改善できたと思います。その支援の方法は、CDAを通して得られたのだと思います。今後もさまざまな面で、会社や周囲の人々に貢献できればと考えます。

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