ちょっと一息

今につながる「私の転機」 vol.7

CDAのつながりは、とても温かくてフレンドリー

[2018/01/30]

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 1通のメールがきっかけで、大学で10日間の短期講師の仕事をしたところ、たまたま人員に空きが出て週3日のキャリアカウンセラーとして働くことになり、会議で発言したら会社説明会前のガイダンス講師を任されることになりました。その実績が評価されたためか、今や教員として大学の教壇に立つまでに・・。この授業には380人もの学生が集まったため、普通の教室では収容できず、講堂でパワーポイントとマイクを使って授業をしたそうです。

 これは、過去2回にわたってご紹介してきた野条美貴さんのキャリアストーリーの一部です。いや、一部どころか、最近数年間の出来事でしかありません。
 でも、驚きはこれに留まりません。実は野条さん、この大学以外にもさまざまな仕事や活動を同時並行でなさっています。
 そのキーワードは「つながり」。野条さんにどのような「つながり」があったのか? ぜひご一読ください。


●今回お話を聞いたのは・・・
 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
 国家資格キャリアコンサルタント
 2級キャリアコンサルティング技能士
 2級ファイナンシャルプランニング技能士
 メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種合格
 日本キャリア開発協会 西関東支部 神奈川地区長
 野条 美貴(のじょう・みき) さん

 ※肩書きは取材当時のものです。


日本キャリア開発協会の神奈川地区長

 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)を取得し、日本キャリア開発協会(JCDA)からの求人情報メールに応募したことがきっかけで、立正大学の非常勤講師として授業を受け持つことに至ったことは、すでにお話しした通りです。でも実は、それと並行して、ほかにもいろいろなことをやってきました。周囲から見ると、9年間も専業主婦だったとは思えないかもしれません。

 時間を戻してご説明しますと、CDAに合格したのが2012年5月のことです。当時は「何でもやってみよう」という意識が芽生えた頃でしたので、すぐにJCDAの夢ファシリテーターという役割に応募しました。これは、夢カフェという、JCDA会員相互のつながりの場として作られたワールドカフェ形式の交流会のことで、そのファシリテーションをします。
 おそらくそれがきっかけで、JCDAの神奈川地区長も務めることになりました。これはけっして立候補したわけではないのですが(笑)、夢ファシリテーターになったことで、さまざまな場で多くの方々とお会いできる機会をいただきました。

※編集部注:現在、野条さんは西関東支部の支部長を務めていらっしゃいます(2019年3月現在)。


別の大学では就職担当教員に

 仕事面では、自分がファイナンシャルプランナーを取ろうと通っていた職業訓練機関で、就労支援の基礎を教える講師や受講者選考の面接、キャリアカウンセリング、ジョブカード作成の支援などに、1年間携わりました。2012年6月からですから、CDAに合格してすぐのことです。
 翌年には、別の職業訓練機関で、就労支援講習の講師やキャリアカウンセリングも行っていました。受講生には専業主婦の方が多いクラスを担当することがあったので、「私もこの間まで専業主婦だったんですよ。でも今は、皆さんの前で話すようになりました」とお話しすると、「えー、どうやってなったんですか」「私も前向きにやってみようかな」という声が上がりました。私の専業主婦の経験が、ブランクを乗り越えて、これから働こうと考えている人たちの参考になったのかもしれません。この仕事は、月3回程度の頻度で2年間行いました。
 2016年になると、さらに動きが激しくなりました。
 ある民間エージェントからの業務委託で、立正大学とは異なる大学でキャリアの授業を受け持ちました。
 また、さらに別の大学、東京工科大学で就職担当教員にもなりました。以前一緒に働いたことのあるCDAの先輩からの紹介がきっかけです。担当は、3年生を対象としたキャリアデザインの授業と、主に4年生の就職支援です。


中小企業で働く人のキャリアカウンセリング

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  働く人のキャリアカウンセリングを本格的に始めたのも2016年です。こちらは、企業内のキャリア形成を促進しようとする国の助成金制度に関わる業務で、社会保険労務士からの依頼によるものです。中小企業の社員を対象に、年間約120人のキャリアカウンセリングを行いました。たとえば、美容師、歯科技工士、エステティシャン、システムエンジニア、バーテンダーという職業に就いている方々から、これまでの経験や、その仕事への想いをじっくりと聴かせていただきました。
 ただ、通常のキャリアカウンセリングとは違って、みなさん、自主的にキャリアカウンセリングを受けたいと思って来られるわけではないので、信頼関係を築くのに難しい面もありました。それでも、普段は聴けないような職種の方々のお話を聴くことは、とても貴重な経験です。大学生のキャリアカウンセリングにも間接的に役立っていると思います。

 また、2016年は日本産業カウンセリング学会の大会の実行委員もさせていただきました。普通、学会と言えばアカデミックな研究者が所属するイメージがありますが、この学会は非常に門戸が開かれています。この学会に入会したのは、私が尊敬しているカウンセラーから、「学会に入ると、今よりももっとたくさんの人とつながりができるよ」とお声をかけていただいたのがきっかけです。この学会に入会したことによって、カウンセリングの第一人者の方々をはじめ、ご縁がさらに広がり、私にとっては「こんな風に素敵な人になりたいな」という目標もできました。2017年度は研修委員会のキャリア部会長も務め、研修企画などを行っています。
 ちなみに、こうした間にも、2級キャリアコンサルティング技能士メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種・Ⅰ種の勉強も進め、いずれにも合格することができました。現在は、筑波大学でのキャリア・プロフェッショナル養成講座を受講したり、いつか大学院に入れるようにと、心理学の勉強をしています。まだまだハードルが高いのですが、諦めずに続けようと思っています。


プロフェッショナル・セルフ・ダウト

 こうして挙げていくと、やりすぎの感を抱かれるかもしれません。私自身、家事も仕事も諸活動もという日々ですから、時間との闘いに苦しむことも多々あります。体を壊して入院したこともあります。そこで、健康の大切さを改めて感じたので、今はゆっくり呼吸することを意識して、時間をみつけてヨガに通っています。
 なぜこんなにいろいろやってみようと動けるのかというと、「もっときちんと人を支援できるようになりたい」と思うからです。あるカウンセリング心理学の先生が「プロフェッショナル・セルフ・ダウト」という言葉を使いました。私のこの言葉がすごく好きです。プロであっても、「自分は合っているのか?」「自分は大丈夫なのか?」「このかかわりで良かったのか?」と常に自問し続ける。そう考えて振り返ると、私はもっと努力すべきだと思うのです。ですから現在は、自分の対応がどうだったのかを指導していただくために、スーパービジョンを受けています。そして、最も軸を置いている、1対1のキャリアカウンセリングの向上を目指しています。


                    ご縁のきっかけはいつもCDAだった

 最後に、私にとっての画像エラーCDAについてお話しいたします。
 私はいわゆる転勤族のため、人と出会うのは一期一会だと思っています。その一期一会のご縁を、CDAはたくさんもたらしてくれました。そして、CDAのつながりは、非常にフレンドリーで温かみを感じさせてくれます。
 たとえば、私は島根になかなか戻る機会がありません。でも、島根で受講した『キャリアカウンセラー養成講座』(現在の『キャリアコンサルタント養成講座』の前身)のクラスメイトは、今でも何かの折に会いに来てくれるのです。
 あるいは、受験時の勉強会資格取得後の勉強会で出会った方々、JCDAの支部会・地区会などで出会った方々、その他職場などで出会ったCDAの方々、本当にたくさんのつながりができました。今では、全国のどこへ転勤になったとしても、全国にCDAのつながりがあるのでまったく不安がありません。これほどフレンドリーで温かいつながりをもたらす資格は、CDAだけではないでしょうか。
 専業主婦だった私がこれほどまでに仕事でやりがいを感じられるのも、いろいろなご縁のおかげであり、ご縁のきっかけはいつもCDAでした。本当に取って良かったと思います。


CDA取得はゴールではなくスタート

 また、もうひとつ思うことは、CDA取得はゴールではなくスタートだということです。キャリアカウンセリングは非常に奥が深く、「スキルアップはもう不要」という段階はないのだろうなと思います。
 そして、キャリアカウンセリングの有用性をしみじみと感じています。学生の中にも、働いている人の中にも、ママ友の中にも、悩んでいたり不安があったり自信がなかったりモヤモヤしていたりする人がたくさんいますから。
 CDAの仲間が増え、キャリアカウンセラーの質が向上すると、社会はきっと良くなるはずです。そのためにも、「プロフェッショナル・セルフ・ダウト」の精神を忘れず、自己研鑽を積んでいきたいと思っています。
 時には落ち込んだりへこんだりすることがあるでしょうが、自分から働きかけることによって、ライフラインチャートを上げていきたいと思います。

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野条美貴さんのライフラインチャート
※ライフラインチャートとは、縦軸に満足度・充実度、横軸に過去の年齢(時間軸)をとって、自己の内面を探求する曲線のこと。

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