多様な実践力が得られ、いち早く確実に新たなステージへ
[2015/10/29]
中小企業診断士になるためには、試験に合格する以外にも道が開かれています。それは「登録養成課程」制度を活用することです。
一般的に、中小企業診断士として登録するためには、1次試験・2次試験という超難関試験を突破した後、実務補習を受けなければなりません。しかし、登録養成課程を受講・修了すれば、2次試験と実務補習が免除されます。ほぼ確実に、経営コンサルタントの国家資格・中小企業診断士を得ることができるのです。
しかも登録養成課程には、受験の道では得られない、いくつもの大きなメリットがあります。これまでお会いした受講者のみなさんがそう口を揃えます。独立コンサルタントとして活躍する浅沼聡さんもその一人。「実践的なスキルアップができて、いち早くかつ確実に資格取得ができる」と強く推奨します。けっして、2次試験を回避するための制度ではなく、貴重なメリットを得るための制度であることがわかります。
果たして、登録養成課程がどのようなものなのか? 具体的に何を得られるのか? 浅沼さんご本人におうかがいしました。中小企業診断士に関心のある方はぜひご一読ください。
●今回お話を聞いたのは・・・
サンライトビジネスコンサルティング株式会社
代表取締役
浅沼 聡 さん
中小企業診断士(第7期登録養成課程修了)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
AFP
1級販売士
1次試験3回、2次試験2回の結果は・・
私が中小企業診断士(以下、診断士)の勉強を始めたきっかけは、経営について体系的・網羅的に学びたかったからです。当時は英会話学校運営会社に勤めていて、管理職として経営企画や内部監査、内部統制などに携わっていました。しかし、業務は経験を基にしていたもので、理論を体系的に学んだ経験はありませんでした。そうした際、診断士試験の存在を知ったのです。
「勉強するなら資格取得という目標を持って」という姿勢で、初受験に際しては予備校に通いました。日本マンパワーではありません。ところが、予想以上に苦戦して3回目でようやく1次試験合格。その年の2次試験は散々な結果でしたので、再度、同じ予備校で2次試験対策講座を受講しました。
その後の1年間は必死に勉強しました。予備校通学はもちろん、毎朝の通勤時にはわざわざ始発の駅まで行ってから座って勉強、昼食はひとりで食べながら勉強、帰りの電車内でも勉強、自宅でも勉強。好きな読書も音楽もお酒も控えて、1年間集中して勉強しました。そして迎えた2回目の2次試験は・・A・B・A・Bという何とも言い難い評価で不合格になりました。
何も得られていない4年間に、人生の停滞感
2次試験不合格を機会に、改めて自分の人生を考えてみました。
「また、同じような1年間を繰り返すのか?」
「もう1年勉強しても、受かるかどうかわからないぞ」
「自分の人生、一歩も前に進んでいないのではないか?」
1次試験対策も含めれば、私はそれまで4年間も診断士の勉強に時間を費やしてきました。しかし、得られたものは「1次試験合格」でしかありません。1次試験合格は資格ではありませんので、自他ともに評価できるものではありません。家族からも「いつまでやっているの?」と思われたかもしれません。自分でも停滞感を感じていました。
その頃には勤めている会社を退職して独立することも視野に入れていましたので、「合格だけを目的にするのではなく、経営コンサルタントとして独立するためのステップも踏んだ方がいいのではないか」という思いもありました。
結果、「あと1年で決着をつける!」と、登録養成課程の道を決心したのです。その費用は「数年で元が取れるはず」と考えました。
「1年間で修了」と「働きながら通学」を両立
登録養成課程の機関選定にあたっては、数機関の説明会に参加して検討しました。東京には養成機関が複数ありますので、その特徴はさまざまです。
私が重視したのは、1年間で修了できることと、働きながら通えることの2点です。シンプルですが、非常に大事なことだと思います。この2つを両立する機関は意外に存在しません。1年以内に修了する機関はほとんど、平日の昼間に通う必要があるからです。
でも、日本マンパワーは、平日2回の夜間と土曜の昼間に通えば1年間で修了できます。立地も便利。診断士の養成課程にも受験対策にも定評があります。そうしたことを総合的に考え、日本マンパワーに受講申し込みをしました。
診断士に必要とされるコミュニケーション手法
開講は2013年3月、私は第7期生になります。同期の仲間は私を含めて24人。20代から70代まで年齢バランスがよく、小売業界に強い人、IT業界に強い人、マーケィテングに強い人など、業務もさまざま。第一線で活躍中の女性もいました。
今思い起こせば、本当に多くのことを学ぶことができ、多くのことを得られました。
まず、素晴らしい仲間と出会うことができました。何かを志して受講している人ばかりですから、尊敬と刺激をし合いながら、1年間をともにした感があります。もっとも印象に残っているのは、授業中によく質問する仲間が発言した言葉です。
「質問は、人の話をしっかりと聴いていないとできない。人の話を聴いているから、質問できるんだ」
確かにそうだと思いました。診断士には、相談される企業の経営者に同調しながらも、課題を見つけて共有し、一緒に問題解決を探っていくというコミュニケーション手法が必要とされるからです。
理論と実践を通して総合的な実践力が身につく
登録養成課程のカリキュラムは、仲間から聞いた一言をまさに具現化するような内容でした。
たとえば、グループに分かれて、さまざまなケースの演習をする授業があります。そのディスカッションでは、当然、人によって意見が異なります。6人いれば6人の意見があるわけです。そうすると、私が思いもよらなかった考えを話す仲間がいる。「なぜそう思うのか?」と聞くと、その人なりの理論の裏付けがあります。逆に、私が発表する場合も同様です。私の考えを話すと、それに対して質問が投げかけられます。根拠を話せば、さらなる質問が投げかけられたり、「いや、こうじゃない?」などと指摘されたりして、思考や論理が深まっていきます。そのようにしてみんなが納得する答えを導いていくことを1年間行うわけですから、自然に物の見方、考え方、まとめ方、ファシリテーションの仕方などが磨かれていきました。
さらに、自分の苦手分野も克服できます。私は1次試験対策の頃から財務が得意ではありませんでしたが、登録養成課程でみっちりと鍛えられました。仲間がいるので「なんとか追いつかなければ」とモチベーションを高く保つことができたのかもしれません。今では、鍛えられた財務分析力をベースに、「認定支援機関研修」を受講できるレベルまで専門性を高めることができています。
加えて、実際のお客様をクライアントとする実習もすごく勉強になりました。こうして考えると、登録養成課程はやはり、理論と実践を通して診断士としての総合的な実践力が身につけられると思います。その点、2次試験は得点力を上げることが中心の勉強であって、診断士として活動する実践力が身につくものではないと思います。2次試験の受験と養成課程修了の両方を経験した私から見れば、大きな差があると感じます。
早く資格取得できれば次のステップにも早く踏み出せる
2014年4月、中小企業診断士として登録を済ませた私は、会社を退職し、独立するための準備を始めました。独立するために1年間の猶予を設けました。診断士に加えてもう少し広く、そして深く勉強しておきたいという気持ちがあったからです。
1年弱で取得した資格は、FP(ファイナンシャル・プランナー)3級・2級、AFP、販売士3級・2級・1級、簿記や、BATIC(国際会計検定)です。今では、社会保険労務士の取得の勉強も始めることができています。
けっして資格コレクションが目的ではなく、経営コンサルタントとしての幅を広げるとともに、専門性を高めることが目的です。なかでもFPを取得できたことは、小規模事業者の経営と家計をワンストップで支援する方向が見い出すことができ、実際にそのような仕事につながっています。
このように、「診断士を取得した後」のステップに踏み出すことができたのも、登録養成課程で、計画的に診断士の取得ができたたからです。もし2次試験に挑戦していたら、今もまだ解法パターンを必死に勉強していたかもしれません。
資格を取得することだけが目的であれば、2次試験を受験し続けることも、けっして悪くないと思いますが、私のようにコンサルタントとして独立を目指すのであれば、「いち早く」「確実に」診断士になる道を選ぶことをお薦めします。実践力を身につけてスキルアップし、いち早くかつ確実に診断士になる。そうすれば、次の新しいステップにも早く踏み出すことができます。
私自身、今は急激に人生が広がってきているように感じています。正直、試験対策に何年も費やしたのは、時間の使い方を誤っていたのかもしれません。
今、独立して約半年。まだまだ駆け出しの身ではありますが、やりがいのある仕事にも恵まれました。たとえば、行政から委託された地域の事業承継。これは、第7期生の仲間から、第1期生の先輩方が設立された会社を紹介してもらったことが縁となりました。登録養成課程には、こうした人的ネットワークも生まれます。
みなさんもぜひスキルアップして、確実に、そしていち早く中小企業診断士の資格を取得し、次なる新しいステップへと踏み出してください。